読書感想 : 『難民を知るための基礎知識――政治と人権の葛藤を越えて』

 

『難民を知るための基礎知識――政治と人権の葛藤を越えて 』 滝澤 三郎、山田 満(編・著) 明石書店 (2017/1/31)

難民問題の入門書。

本書は難民問題に関心がある人々のための入門書です。

 

難民問題に携わる様々な専門家がそれぞれの専門分野から光をあてる仕方で、難民について知っておくべき「基礎知識」をわかりやすく解説しています。

 

基礎知識をわかりやすく、とはいっても本書はかなりの情報量が詰まっており読み応えは十分。とても勉強になる一冊です。

「政治と人権の葛藤を越えて」いる??

さて、副題にある「政治と人権の葛藤」とは、誤解を恐れずに言えば、自分たちのご飯と難民の人権どっちが大事かってことです。そしておそらくは、難民の人権は大事だけど自分たちのご飯の方がもっと大事、と考える人が大半、いや、誰もがそう考えるのではないでしょうか。

 

そして難民受け入れ国は主に西洋諸国です。難民受け入れ国の政治家は難民が選ぶのではなく難民受け入れ国の国民が選ぶ以上、人権の意義を高らかに謳う西洋各国の政治家も、人権よりも国民のご飯を優先せざるを得ません。人権よりも政治です。

 

そうした中で、西洋諸国をはじめとする世界各国は難民保護の動きを進めていかねばならない...

 

本書からこの葛藤の深刻さはヒシヒシと伝わってきましたが、その葛藤を「越え」ていくための光明のようなものを私は読み取ることはできませんでした。ただただ難民の惨状に胸を締め付けられ、難民問題の解決の難しさに思いをいたすばかりでした。

平和ってすばらしい。

なんだかんだ言っても日本は安心安全です。島国で国境を他国と接してもいません。その上本書で詳しく説明されているように、日本は難民認定がとても厳しく難民受け入れに消極的です。そのため私たちは難民問題を遠い世界の出来事のように思えてしまいます。

 

そんな難民問題との距離が本書を読んで少しばかり縮まりました。

 

それはさておき、平和ってありがたいですね。