読書感想 : 『地学のススメ 「日本列島のいま」を知るために』

 

『地学のススメ 「日本列島のいま」を知るために』 鎌田 浩毅 講談社 (2017/2/15)

本書は地学の教養書です。

本書は地学の教養書です。著者は、地学の「おもしろいところ」「ためになるところ」だけを取り上げ、それらについての基本事項を平易に解説していきます。

 

具体的には、地球が丸かったとわかるまでの歴史、地層、プレートテクトニクス、地震、火山などが本書で取り上げられるトピックです。これらについては、中学校までで習っていたり震災等の災害時の報道を通して見聞きしたりして、一般の人でも一応”そこそこは知ってるレベル”の知識はあると思います。本書はそれを、”結構知ってるレベル”にまできちんと引き上げてくれます。

噴火が怖い・・・

私は、大噴火をテーマにした石黒耀さんのディザスター小説の傑作『死都日本』を読んで以来、噴火の破壊力に対する恐れを抱くようになり(本書でも、地震は文明を滅ぼさないが、噴火は文明を滅ぼすとの記述があります)、噴火関連のニュースを聞くと、それが世界のどの地域であれ、噴火が起きないで欲しいと切実に思うようになりました。そうしたこともあり、私は本書では火山の章がもっとも興味深く読めました。

 

北朝鮮と中国の国境に白頭山という山があります。今では北朝鮮の金一家によって聖なる山とされているようですが、かつてそこでは大噴火があり、朝鮮半島はもちろん、海を越えて日本にまでその被害が及んだとされます。その白頭山は、現在いつ噴火してもおかしくない状況のようです。そして著者によれば、今もし白頭山で噴火が起きたら東アジア全体が混乱に陥るとのことです。『死都日本』の破滅的状況が現実になってしまうのかと、ゾクッとさせられました。

本書の知識が生き延びる力をくれるとは思えませんが、本書は地学に興味のある方にオススメできる一冊です。

著者は、本書を読んで地学の知識を得て、地震列島、火山列島日本で生き延びる力を読者に得て欲しいと考えています。その点をまえがき、あとがきで繰り返し強調しています。

 

ですが、本書全体を通して伝わってくる地球のスケールの大きさに私は圧倒され、一般の人が本書で得られる知識を手にしたところで、地震や火山に対して何か有効な対策を打てるようになれるとは思えませんでした。私は悲観的過ぎるのでしょうか・・・

 

それはさておき、本書は読みやすく知識がすんなり頭に入ってきます。地学の入り口として、あるいは大人になってからの地学再入門として、本書は格好の1冊だと思います。