読書感想 : 『なぜアマゾンは1円で本が売れるのか―ネット時代のメディア戦争―』

 

『なぜアマゾンは1円で本が売れるのか―ネット時代のメディア戦争―』 武田徹 新潮社 (2017/1/14)

各メディアの最前線の動きを俯瞰できる本です。

タイトルからして、アマゾンのビジネスモデルの解説本かと思いますが、そうではありません。もちろん、それについても触れられてはいますが、それはわずか数ページです。私は著者が武田徹さんだからということで本書を手に取りましたが、タイトルに惹かれて本書を読み始めた方は、肩透かしを食らうことになります。

 

本書のテーマは副題にある「ネット時代のメディア戦争」です。

 

新聞、出版、テレビといった旧メディアはもちろん、SNS、ニュースサイト、ニコニコ動画のようなネットによって出現した新メディアも、生き残りをかけて必死でもがいている。著者は丹念な取材に基づいて、そうした各メディアの時代への適応の具体相を、歴史的変遷を踏まえながら語っていきます。そして、各メディアの変化に伴うコンテンツのあり方の変化についても、様々な事例を紹介しながら考察を加えていきます。各メディアの取り組みの一つ一つの事例がとても興味深く、各メディアの最前線で何が起こっているのかを幅広く俯瞰的に知ることができました。

 

図書館電子化が進んで欲しいです。

個人的に気になったのは、大日本印刷という世界最大規模の印刷会社の取り組みです。大日本印刷は、印刷会社にもかかわらず書店経営に乗り出し、紙の本だけでなく電子書籍の販売も開始したようです。さらに電子図書館事業の構想に噛んでいく目論見も持っているようです。

 

印刷会社に限らず、出版業界と電子書籍、図書館って利益相反で相性が悪いのかと思っていたのですが、こうした動きもはじまっているのですね。電子書籍の普及に伴い、出版業界も電子書籍を取り込んでいかなければやっていけないという事情があるのでしょうけど。

 

ところで、私は図書館で借りる本以外は、紙の本は読みません。狭い家に住んでいるので(>_<)場所を取られたくないということもあり、いつのまにかそうなっていました。図書館も電子化してくれたらありがたないなと前々から思っていました。

 

私のような人が多数派であるとは思いませんし、図書館電子化でコンテンツの作り手のマネタイズ問題が改めて浮かび上がってくる気もしますが、そこらあたりの問題をうまく処理して、この話を先に進めて欲しいものです。