読書感想 : 『月9 101のラブストーリー』

 

『月9 101のラブストーリー』 中川右介 幻冬舎 (2016/10/26)

”月9”、最初期10年間の軌跡を追った本です。

月9。言わずと知れた、フジテレビの月曜午後9時のドラマのことです。本書は、月9の開始である1987年4月から1996年までの10年間の、月9の軌跡を追ったものです。

 

この10年とは、W浅野から、鈴木保奈美、中山美穂へと時代のヒロインのバトンが移っていき、ついにはキムタクが時代の頂点に立つまでの10年であり、『東京ラブストーリー』、『101回目のプロポーズ』、『一つ屋根の下』、『ロングバケーション』等の「社会現象」を起こしたドラマが作られた10年間です。著者は、手際よくこの10年間に作れられた月9ドラマを解説していきます。あの頃見たドラマの映像が蘇ってきます。

 

ただし、本書は単にドラマのあらすじを時系列的に並べていくだけものではありません。ドラマの内容の説明と絡めて、今ではフジテレビの役員となった、太田亮さん、亀山千広さん両プロデューサーや、こちらも今や大御所となった野島伸司さん、北川悦吏子さん等の脚本家、その他ディレクター等諸々が繰り広げる、ドラマ作りの舞台裏での人間ドラマも描き出します。私は、役者さんについてのお話より、作り手側のドラマにかけた真摯な思いが露わになるここらあたりの話の方がおもしろかったです。

当時の空気を思い出させてもらいました。なつかしいです。心地よいです。

当時は視聴率20%が当たり前だった。

 

当時はドラマ主題歌が100万枚売れるのも珍しくなかった。

 

キムタクは間違いなく当時日本一カッコよくて人気がある男だった。

 

田原俊彦は当時は本当にビッグだった。

 

当時、石田純一は、軽い感じのモテ男をやらせたら右に出るものなしの役者だった。

 

等々。

 

あげていけばきりがありません。本書はあの時代の空気を思い出させてくれます。あの頃私は確かに必死で生きていた。歳をとったせいか、そう思えることに心地よさを感じます。たまには、昔を振り返らせてくれるこうした本を読むのもいいものだと思いました。

 

それと、流行っているものにはある程度乗っかっておいたほうが後々振り返って楽しめるってことも、再確認できました。『ロンバケ』とかみといてよかった。