読書感想 : 『学校では教えない「社会人のための現代史」 池上彰教授の東工大講義 国際篇』

 

『学校では教えない「社会人のための現代史」 池上彰教授の東工大講義 国際篇』 池上彰 文藝春秋 (2015/11/10)

安定の池上解説。

現代世界の動きを正しく理解するには歴史の理解が欠かせない。とりわけ、現代に直結する第二次世界大戦後の歴史、つまりは東西冷戦と冷戦後の歴史はおさえておかねばならない。

 

本書は、著者の池上さんのそんな思いから生まれた現代史の解説書です。

 

テーマが現代史ですから、私自身が生きて体験してきた時代の歴史でもあります。メディア等を通して、知識をそれなりには得てきているはずのテーマです。ですが、ことばとしては知っていても、その実、それがどのようなインパクトを世界に与えているのかについてはわからないってこと、結構あると思います。

 

池上さんは、そうした歴史的知識を現在の世界に有機的に結びつけていくしかたで、現代史についての解説を進めます。

 

読み出したら止まりません。ページをめくるごとに、頭の中の曖昧であった知識にはっきりとした輪郭が与えられ、知識が整理整頓されていき、知識に血が通い出していきます。

 

意外な歴史的結びつきということで、興味深かったお話を一つ紹介させてください。中国共産党にとって、天安門事件は消し去りたい黒歴史です。民主化を求める学生たちに同情的な発言をし、天安門事件のきっかけを作った当時の総書記胡耀邦が親日家(当時の中曽根首相とも仲良し)であったことが、胡耀邦の失脚とともに、親日的態度をとる輩はけしからん、となり、現在の中国共産党政権が進める反日教育の始まりとなったようです。私は中国の反日的態度は、戦後一貫したものなのではないかと推測しておりました。それがどうやらそうではなかったようです。勉強になりました。

 

安定の池上解説。この一言に尽きます。私は本書をkindle日替わりセールで購入しました。これからも、池上さんの本はセールに出たら読んでおこうと思いました。