読書感想 : 『本気になればすべてが変わる 生きる技術をみがく70のヒント』

 

『本気になればすべてが変わる 生きる技術をみがく70のヒント』 松岡修造 文藝春秋 (2011/8/10)

熱い男松岡修造は、クールな頭脳としたたかな戦略思考を成分としています。

テレビを通して見る松岡修造は、熱い、いや、暑苦しいとさえ思わせるポジティヴ思考と全力投球な行動スタイルを徹底し、視聴者に元気を与えています。今や熱い男の代名詞となった感さえあります。

 

そんな松岡修造による、修造スピリットの読者への注入。それが本書の目的です。

 

このように言うと、本書は、テレビから受ける印象通りの”熱い男松岡修造”のただただ熱い言葉が70個並べられたものだと予想してしまうかもしれませんが、そうではありません。

 

本書を読むと、松岡修造は実は、クールな頭脳としたたかな戦略思考の上にできていると思い知らされます。著者の熱い振る舞いの背後には、冷静な思考の裏付けがあるのです。本書では、著者自身が絶えず自分を振り返り、よりよく生きられるように試行錯誤を繰り返してきた中でもっとも合理的であると考えるに至った生きる技術が、70のヒントという形で提唱されます。

 

そしてそれらヒントのベクトルはすべて、本書のタイトルにもある「本気」という言葉に向けられているのです。

著者の言う「本気」とは、徹底して基本的なことに忠実であれということです。

では、著者の言う「本気」、あるいは「本気になる」とはどういうことでしょうか。以下では、その点について私なりに思ったところを書いてみます。

 

著者は自身のエピソードを交えながら次のように述べています。

 

仕事はある意味、演技。俳優になりきって気持ちの山場をつくる。

 

「自分主体」を貫きながら、組織の中では歯車になれる人が強い。

 

著者は、”松岡を使ってよかったと思ってもらえる”ことを仕事において最も大切にし、自分は仕事を構成する一つの歯車であるという姿勢を徹底するようです。つまり、”熱い男松岡修造”というのも、著者を使う側から求められる役割であり、著者は”熱い男松岡修造”という役割を演じているわけです。

 

仕事は演技だ!組織の歯車になれ!というのはとりたてて目新しい言葉ではありませんし、そうした言葉の重要性は誰もが実感しているのではないかと思います。ですが、そうした言葉に忠実たろうとしてそれに向けた努力をしようとしても、どうしても中途半端に終わってしまうものです。そうした努力を徹底して実践しているのが著者なんですよね。

 

本書に書いてあることの大半は、上掲の二つの言葉のような、ごくごく普通のことです。ビジネスパーソンとして求められる基本的なことばかりです。そして本書を読む限り、著者は70の言葉すべてに忠実です。

 

基本的なことを徹底したところにあらわれるひとつの理想型が、松岡修造なのかもしれないと私は思いました。

 

確認するまでもありませんが、著者の言う「本気」という言葉は、”ただただ熱く”といったことではありません。(ちなみに、著者は自分のことを「熱い」と思ったことはないようです。)私はその言葉を、徹底して基本的なことに忠実であろうとする姿勢をあらわす言葉として受け止めました。

 

それはそうと、著者のように新しい価値を世に提供し続けているような人こそ、往々にして、実は世間で言われる基本的なことを大切にする保守的な人なのですよね。読了後にそんなことを思いました。

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コメント: 2
  • #1

    110 (木曜日, 16 6月 2016 16:43)

    大なり小なり、勝負の世の中にあり、奮起するフレーズも、モチベーションや集中を保つルーティーンも様々。
    基本こそ、土台。
    本気を出すのでなく、本気が通常。

    自分の周りの見え方や考え方が、ちょっと変わりそうです。

  • #2

    中村修一 (金曜日, 17 6月 2016 11:02)

    110 さま

    コメントをありがとうございます。

    私も本書を読んで、そんなことを考えました。ともかく、私はいつも本気で行こうと思います!!!