読書感想 : 『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国 』

 

『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国 』 原朗 NHK出版 (2014/10/11)

本書は、日清・日露戦争を「朝鮮戦争」として洗い直します。

本書は、近代日本が初めて起こした二つの対外戦争である日清、日露戦争から第一次世界大戦までの時期を、日本と東アジア諸国との関係を軸に考察し、著者独自の解釈を提示することを目的とします。

 

タイトルにあるように、本書の中心となる対象は日清、日露戦争です。著者の独自性がでているのも、そのあたりのことにかかわります。

 

著者は二つの戦争を洗い直し、次のように主張します。日清、日露戦争はいずれも朝鮮半島の支配権を巡っての戦争であって、それぞれ「第一次朝鮮戦争」、「第二次朝鮮戦争」と呼ばれるべきものであると。

 

著者は二つの戦争の経過とその背景を克明に記述し、持論を力強く説得的に展開していきます。韓国併合は1910年とされていますが、日露戦争が終わるまでには日本の朝鮮支配が実質的には確立していたという話にはびっくりしました。

 

日清、日露戦争というと、どうしても相手国である清国、ロシアと日本との関係性に注意を向けてしまいます。いきおい、朝鮮は視野から抜け落ちてしまいがちです。本書の指摘に私は盲点を突かれた思いです。本書によって、近代日本の歴史を捉える新しい視点をもらえました。

どうして日本は朝鮮を支配しようとしたのか。本書にはその理由が書いてありません。

日本は朝鮮半島を求めて、清国、ロシアと戦った。繰り返しになりますが、そのあたりの議論はとても説得的です。

 

では、そもそもどうして朝鮮半島を支配下におこうと考えたのでしょうか。

 

征韓論、江華島事件、日朝修好条規と、明治政府は朝鮮の開国を要求し、その目的を達成します。日朝修好条規は、日本優位の不平等条約です。この時点で日本は満足しても良かったはずです。ですが、日本は不平等条約締結では満足せず、朝鮮の支配にまで足を踏み出します。それが日清日露戦争です。

 

どうしてそこまで足を踏み出したのでしょうか。

 

本書にその答えは見当たりません。ただただ、朝鮮をわがものにするための歴史的出来事が時系列的に記述されるのみで、朝鮮半島支配に向かう根本的な動機付けについての踏み込んだ議論はありません。日本にとって朝鮮はどうして重要だったのかについての説明がないのです。

 

この点について触れられていないことに私は不満を感じざるを得ませんでした。帝国主義時代はそんなもんだ、他国を支配するのに理由はいらない、といわれてしまうとそれはそれで合理的なのかもしれませんが・・・