読書感想 : 『寝ながら学べる構造主義』

 

『寝ながら学べる構造主義』 内田樹 文藝春秋 (2002/6/20)

著者は入試問題で引っ張りだこの内田さんです。

国語の入試問題としてよく使われる作家の一人が内田さんです。引っ張りだこ状態といっても過言でないと思います。中学受験、高校受験、大学受験いずれにおいても、問題を解いていると内田さんの文章に頻繁に遭遇します。

 

おそらくここ15年ぐらいの間に受験を経験した方は、どこかで内田さんの文章を読んでいるのではないかと思います。

 

そんな内田さんの本がKindle日替わりセールで出ていたので読んでみることにしました。

構造主義の入門書です。

本書は構造主義の入門書です。

 

内田さんはまず、構造主義の基本的な考え方を示します。

 

構造主義というのは、ひとことで言ってしまえば、次のような考え方のことです。  私たちはつねにある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している。だから、私たちは自分が思っているほど、自由に、あるいは主体的にものを見ているわけではない。むしろ私たちは、ほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け容れたものだけを選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」。そして自分の属する社会集団が無意識的に排除してしまったものは、そもそも私たちの視界に入ることがなく、それゆえ、私たちの感受性に触れることも、私たちの思索の主題となることもない。私たちは自分では判断や行動の「自律的な主体」であると信じているけれども、実は、その自由や自律性はかなり限定的なものである、という事実を徹底的に掘り下げたことが構造主義という方法の功績なのです。

 

これだけ読めばとりあえず構造主義がなにかわかります。要するに、私たちは、私たち自身が自分たち自身のことをコントロールしていると思いっていますが、それは錯覚であっって、私たちに先立つなにものかによって私たちは常にすでにコントロールされているということです。

 

こうした定義付けに続いて、内田さんは構造主義を築き上げた思想家8名について簡にして要を得た説明を加えていきます。彼らは共通して、”私たちは私たちに先立つなにものかにコントロールされている”ことに注目しました。

 

①構造主義が生まれるための「地ならし」をした思想家

マルクス 

「どの階級に属するかで人間は見え方がかわる」

 

フロイト 

「人間が直接知ることのできない心的活動が人間の考えや行動を支配している」

 

ニーチェ 

「人間はほとんどの場合、ある外在的な規範の「奴隷」に過ぎない」

 

②「構造主義の父」

ソシュール

「私たちの経験は、私たちが使用する言語によって非常に深く規定されています。」

 

③「構造主義の四銃士」

フーコー

「「いま・ここ・私」をもっとも根源的な思考の原点と見なして、そこにどっしりと腰を据えて、その視座から万象を眺め、理解し、判断する知の構えをフーコーは「人間主義」と呼」んで批判します。

 

バルト

ソシュールの考え方を発展させました。

 

レヴィ=ストロース

「人間は生まれたときから「人間である」のではなく、ある社会的規範を受け容れることで「人間になる」」

 

ラカン

ラカンは精神分析の専門家で、フロイトの考え方を発展させました。

 

 

かなり簡単ではありますが、以上が本書の内容です。私は構造主義についての理解はこれでもう十分です(笑)

「寝ながら」でも読めるわかりやすさです。

内田さんも認めているように、構造主義者の文章は難しい。ですが本書に難しいところはありません。例え話をはさみながら、構造主義のポイントをわかりやすく解説してくれます。私は座って読みましたが、タイトルの通り「寝ながら」読んでも内容がサクサク頭に入ってくると思います。

 

内田さんの手際の良さに脱帽です。

 

構造主義を学ぶ初めの一歩としてお勧めできる一冊です。