読書感想 : 『作家の収支』

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作家のお金の実態が赤裸々に語られます。

作家森博嗣さんが、作家のお金に関わる実態を赤裸々に綴った本。

 

著者は徹底して正直に語ります。作家の収支についてこれ以上正直に書いてくれる本には今後出会えないと思えるほど、その姿勢は徹底しています。印税、講演、インタビュー、原作の映画化、ドラマ化、漫画化によるロイヤリティ、取材など、お金の発生するすべてについて詳細な数字があげられます。そして単に数字だけでなく、それぞれの収入が発生するカラクリについてもことこまかに説明(と考察)が加えられます。

 

こういった数字の生々しさとお金がらみの話が本書の最大のセールスポイントとなるのでしょうが、本書のよさはそれだけではありません。

 

お金の話を通して、作家というヴェールに包まれた職業の生活実態と、出版業界の裏側を垣間見せてくれます。作家という仕事への著者の向き合いかたや、作家、出版という仕事の将来についての著者の見方も示されます。こうした話も、お金についてと同様、思うところを包み隠さず率直に語っています。

 

おもしろいです。文章も読みやすく、私はぐいぐいと引っ張られるように最後まで一気に読みました。

なによりすごいのは嫌味がないこと

著者の森さんはすでに15億円以上を稼いでいるようです。よって本書は成功者の自慢本ともとれるわけです。また、お金の話となると下品な匂いがしてくるものです。

 

ですが、本書には下品さも嫌味を感じさせるところもまったくありません。これは森さんの文体なのか、人徳なのか、あるいはお金の桁が違いすぎて別世界の出来事のように思えるからなのか・・・ 理由はわかりません。それはさておき、読了後、私はこの点にある種の爽快感とともに深い感銘を受けました。

 

私は森さんの著書を読んだのは本書がはじめてです。これを機に、森さんの本を読んでみたいと思いました。まずは代表作の『すべてがFになる』からはじめてみます。